もともとはボクサー用のトレーニング (training for boxers)・・・・

Joseph Hubertus Pilates氏がニューヨークにスタジオをオープンしたのは1926年の事。場所は939 8th Ave。今でもこの場所にピラティススタジオはあるらしいですが、Pilates氏との関係は残念ながら無い様です。この時、ピラティス氏は43才で、始めはは20代後半から取り組んでいた、ボクシング用のトレーニングスタジオをイメージしてスタジオを開設したそうです。ボクシングのトレーニングと言うと、今のピラティスのイメージからは程遠い、きっと汗臭く、男臭いスタジオだったのでは無いかと想像します。ダンベルを始め、ウェイトリフティングや各種武道などの器材や道具が所狭しと転がっていたのでしょう、、。

それでもひたすら大きな筋肉を鍛える、米国流のいわゆる「workout」では無く、「身体の正しい動かし方、正しい人生の生き方」を教える事にこだわり続けたピラティス氏。ピラティス氏はこの様な興味深いコメントを残しています。「西洋人は落ち着きが無く、止まって座っていられない、、」と。東西の身体の鍛練法に精通していて、ヨガの影響も多大に受けていたピラティス氏は、ヨガのアーサナに「動き」を加えて、西洋人にも興味を持ってもらえる、近代化したヨガを最初は作りたかったのかもしれません。

とにかく「回数」(frequency)と「強度」(strength)を追い求める、今までの米国流のトレーニングとは真逆で、数より質を追い求めたピラティス氏。意識の高い身体の動かし方を繰り返し練習する事で、生徒の一人一人が自分の身体に対する理解を深められるプログラム。スタジオで身体の正しい動かし方を練習して、それを日常生活に持ち込む事で、生活全体の質を改善していく。80年以上も前から、この様な先進的なプログラムに真剣に取り組んでいたピラティス氏。当時にしては、あまりにも先進的過ぎて、バレリーナを始めとする感度の高い女性にしか理解されず、結果として女性を中心にピラティスは全世界に広がって行ったと言われています。

でも元を辿れば男性が男性の為に考案した「ピラティス」。82年の歳月を経て、運動科学で色々な事実が究明されるにつれ、「数より質」を運動に求める時代がやっときて、世界を代表するスポーツ選手のトレーニングにも積極的に取り入れられてきた「ピラティス」。2009年は私のレッスンでも、男性に物足りなさを感じさせない、「pilates for men」のプログラムも色々研究して増やして行きたいと思います。